| 研究概要 |
UVーB領域(280〜320nm)の紫外線は植物の成長を阻害するとともにクロロフィルの分解(または生成阻害)等の可視障害を引き起こすが、植物の生育環境によって、UVーBの影響の程度が異なる。環境条件の違いによる植物のUVーB感受性の違いは紫外線吸収物資の含有量の違いによると考えられているが、詳細は不明である。本年度は、紫外線に感受性の高いことが知られているキュウリ(品質:北進)を実験材料に選び、キュウリの第1葉に対するUVーBの影響とUVーB感受性に対する温度及び他の光条件の影響を検討した。また、紫外線の害作用に密接に係わっていると考えられる活性酸素の代謝系酵素であるス-パ-オキシドジスムタ-ゼ(SOD)及びグルタチオンレクタ-ゼ(GR)に対するUVーBの影響を調べた。以下に結果の概略を述べる。
(1)20°CでのUVーB照射によりキュウリの子葉及び第1葉の成長が阻害され、第1葉の主に周辺部にクロロシスが現れた。
(2)照射時の温度を25°Cにすると、UVーBによる子葉及び第1葉の成長阻害はほとんど認められなくなったが、クロロシスは現れた。
(3)20°CでUVーBと同時にUVーAを照射すると、UVーBによる子葉及び第1葉の成長阻害はほとんど認められなくなった。
(4)UVーB照射期間中に子葉のSOD活性は顕著に増加したが、対照との差は認められなかった。
(5)UVーB照射により、GRの基質(グルタチオン,NADPH)に対する親和性が低下した。
以上の結果から、キュウリの成長のUVーBに対する感受性が温度やUVーA照射にり変化することが示されたが、クロロシスについては変化がなかった。UVーBに対する植物の感受性のメカニズム及び防御機構に関しては今後さらに研究を継続しなければならない。
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