1.63年度より継続して研究をしていた北海道白亜紀産の裸子植物の新目とみられる雌性繁殖器官化石については、胚珠、胚をはじめとする内部構造の解析が終了し、受粉機構、裂開方法などの機能も明らかとなり、現在論文を執筆中である。 2.北海道の白亜紀層から、あらたに(1)ソテツ類の新群と思われる樹幹(2)ソテツ綱ベネチテス目の花化石がみつかり、それぞれ、以下のような重要な新知見をもたらした。 (1)はソテツ類と球果類の両方に特徴的な材構造をあわせもっており、どちらかといえば、ソテツ類に属するとみられる新属である。今後同植物の花、葉など他の部分の発見と全体像の復元が期待される。 (2)は既に北海道から樹幹のみが知られていたキカデオイデラ属のものと判明したが、東アジアからのベネチテス類の花としては最初の報告であるだけでなく、その保存が良好なことから、ひろくベネチテス類の花構造を再検討するに充分なものである。従来二珠皮性とされながら、その真疑が不明であった胚珠の構造について、明確な結論が出せよう。 全体としては、被子植物近縁の裸子植物群について、栄養・生殖両器官について多くの新知見が得られたことで、今後の研究の展開にも多大の興味が集まることとなろう。
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