テッポウユリの開花前後の蕾の花粉を酸素処理によってプロトプラスト化し、培養することによって細胞壁を再生させたいわゆる再生花粉は、発芽培地上で60%以上の率で花粉管を伸長する。この実験径を基礎にして次のような成果を得た。 1.再生花粉は柱頭上でよく発芽するだ、のせる花粉量に難点があって花粉管を伸長は花柱の3〜5cmにとどまった。そこで子房のすぐ上部の花柱を切断し、そこに再生花粉をのせて子房内までの花粉管伸長を確かめ、受精および種子形成の可能性に大きく前進した。 2.テッポウユリ花粉同士の融合では、2個融合体では97%、3個融合体では67%、一本の花粉管を伸長し、花粉管の本数が花粉管核に数に依存しないことがわかった。またチュウリップ葉肉細胞との融合体でも再生花粉は正常と同じように花粉管を伸長した。 3.テッポウユリは同一品種内不和合である。再生花粉にしたとき同一品種の柱頭上で発芽して花粉管を花柱内に伸長するので、一度細胞壁を除去することによる不和合性の変化の可能性が示唆されたが、なお追試が必要である。 4.スイセン花粉プロトプラストの再生花粉は正常に花粉管を伸長することが少なく、膨潤する成長様式を示した。細胞質内の細胞骨格はプロトプラスト化することにより一度乱れ、再構成修復されると考えられるがスイセン花粉その修復がうまくできないことが示唆された。 5.テッポウユリとスイセン花粉との融合体を得て培養し、その融合再生花粉の花粉管伸長を検討した。この異種融合体の場合、通常一本の花粉管を伸長し、先端にはどちらかの種の花粉管核があって、残り3核の移動には規則性はなかった。
|