1.イトマキヒトデの成熟分裂開始卵に出現する卵成熟特異的プロテインキナーゼ(Mat-sp PK)活性がMPF活性を伴うかどうかを明らかにするため、抽出液調整から検定に至る段階を何箇所か改良し、微小注射法によりMPF活性を検定した。その結果、高いMat-sp PK活性を有する成熟開始卵からの抽出液はMPF活性を有していることが判明した。 2.Mat-sp PK活性が未成熟卵抽出液から無細胞系において完成化されてくるが、この活性化が実際の卵成熟時にみられるピーク時のキナーゼ活性の6〜7割にまで迫ることが明らかになり、卵内でおこっているキナーゼの活性化を無細胞系でほぼ再現できることが判明した。 3.未成熟卵抽出液からのDTT依存のMat-sp PK活性化機構を明らかにする解析実験を行ったところ、Mat-sp PKは未成熟卵中での不活性型から、全く異なる3種類の因子の調節作用により活性化型に転じることを示す結果を得た。この3種類の因子の順序だった作用により、卵成熟時のMat-sp PK活性化がおこり、成熟分裂の再開が引きおこされるものと推測される。 4.現在、Mat-sp PK活性化に関わる3種類の因子のそれぞれの特定、およびそれらの作用順序の詳細などについて研究を遂行中である。
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