研究概要 |
ヒキガエルの視蓋は、下等脊椎動物における主要な視覚中枢である。餌対象等の外界に関する視覚情報は、視蓋で検出・処理された後、摂餌行動等の行動として出力されると考えられる。従来の研究から、我々は既に、視蓋から舌筋運動ニュ-ロンへ到る神経路が、多シナップス性の興奮性および抑制性経路から成り立っていることを示している(Satou et al.1984,1985)。 本研究は、(1)視蓋から舌筋運動ニュ-ロンへの情報伝達を中継している介在ニュ-ロンを同定すること、および(2)視蓋における餌対象の検出機構を調べることを目的として行った。その結果、(1)視蓋の電気刺激に対してシナップス性に賦活される脳幹網様体ニュ-ロンを同定した。これらの網様体ニュ-ロンのうち少なくとも一部は、上記抑制は経路の介在ニュ-ロンと考えられた。(2)視蓋ニュ-ロンの視覚刺激に帯する応答、特に、対象刺激に対する背景刺激のおよぼす影響を明らかにし、視蓋ニュ-ロンから、real object motion(真の対象運動)とself-induced object motion(自身の動きによる対象の見かけの運動)の区別に関与していることを示唆した。
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