私達の研究している三種のカドヘリン(N-、E-、およびgp140と名付けたカドヘリン)についてその成体と胚における組織分布を酵素抗体法によってあきらかにし、その発現分布地図を作製した。その結果、私達の発見したgp140が、既知のすべてのカドヘリンとは異なる全く新しいサブクラスに属するカドヘリンであることがあきらかになった。このgp140はカエル胚の血管系の形成初期からその発現が検出でき、その組織分布は血管内皮系に局限されている。すなわち私達のモノクローナル抗体は従来得ることが困難であった血管内皮系のカドヘリンを認識する抗体であることが明らかにされたわけで、以下gp140をV-カドヘリン(Vascularカドヘリンの略)と呼ぶことにする。(論文準備中) λg+tll発現ベクターを利用したcDNAライブラリーを、上記のモノクロナール抗体でスクリーニングすることによって、カエルV-カドヘリンのcDNAクローン(約1100塩基対よりなるクローン)の分離に成功した。現在、このクローンとE-、N-カドヘリンの塩基配列の分析を行っている。V-カドヘリンのcDNAクローンについてNorthernブロッティングを行うとともにライブラリーの再スクリーニングにより遺伝子全長を含むcDNAの分離を試みている。
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