研究課題/領域番号 |
63540579
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山下 智 鹿児島大学, 教養部, 教授 (30041784)
|
研究分担者 |
景浦 宏 福岡大学, 理学部, 講師 (70194694)
清原 貞夫 鹿児島大学, 教養部, 助教授 (50117496)
|
キーワード | 味覚 / アフリカツメガエル / キメラ / 味覚中枢 / 舌咽神経 / ゼノパス / 摂食行動 / 味覚器 |
研究概要 |
1.X.b.(Xenopus borealis)は寒天に吸収させた各種アミノ酸のうち、3×1D^<-4>M〜10^<-2>MのL-Trp、L-Pro、L-Valを摂取するのに対し、X.l.(Xenopus laevis)は10^<-2>ML-Pro、L-Valを摂取する程度であった。右半側X.b.キメラはX.l.の摂食性と類似した。今後X.l.とキメラの類似性をさらに明確にしたい。 2.X.l.、X.b.にHRP法を適用して舌咽神経の味中枢投射を調べた結果、両種とも臓性知覚域に投射することを確認し、両者は部位的に同位置を占めることがわかった。今後、キメラについて比較検討したい。 3.X.b.とキメラ(右半側X.b.)の口腔内味覚器の分布をポンソー染色法で調べた結果、分布数および分布の部位的変化は、すでに観察したX.l.の結果と比較して顕著な差は認められなかった。今後、キナクリ染色によりX.b.起源の味覚器の分布を明らかにする計画である。 4.X.b.の舌咽神経応答を味覚質6系統25種について電気生理学的方法により記録し、すでに得ているX.l.の舌咽神経応答と比較した結果、次の点で顕著な差異のあることがわかった。 (1)キニーネ等にが味物質の閾値はX.b.で10^<-6>Mで、X.l.より約10倍高濃度であるが、最大応答値(Rm)は同等である。 (2)食塩等塩類に対する閾値はX.b.で10^<-3>M付近で、X.l.より約3倍低濃度で、Rm値はX.b.の方が約2倍大きい。 (3)塩酸等酸応答は閾値もRmもX.b.がX.l.より約2倍低くて大きい。 (4)アミノ酸のうち、L-TrpとL-Tyrの閾値はX.b.で10^<-6>M付近にあり、X.l.より約10倍低いが、Rmに大差はない。 5.キメラのX.b.およびX.l.起源の舌咽神経の味応答性はそれぞれX.b.およびX.l.の舌咽神経の応答性と類似することがわかった。今後、延髄味中枢のレベルの味応答性を調べる計画である。
|