研究概要 |
1.寒天片に吸収させた各種アミノ酸の摂取行動では、一般的にはX.b.(Xenopus borealis)の方がX.l.(Xenopus laevis)よりも活発で、閾値も低い傾向にあった。キメラはX.b.の左・右半側に関係なくX.l.の行動に似る傾向を示した。 2.HRPおよびキナクリ染色法を用いて中枢(延髄)への投射性を調べた結果、延髄のレベルでは左右舌咽神経の同側性投射が明確に認められた。 3.X.b.、X.l.および左右半側X.b.キメラの舌咽神経味応答について、味刺激物質を6系統60種に広げて、さらに詳細に比較した結果、次のような結果を得た。 1)刺激効果の強いアミノ酸12種のうち、L-Pro,L-Val,H-L-Pro.L-Argなどでは、閾値から最大応答に至るまで、X.b.およびX.l.間でまったく差異は認められなかった。 2)アミノ酸のうち、L-Phe,D-TyrおよびD-Trp応答にX.b.,X.l.の種による差異がもっとも顕著に現れた。 3)4基本味質のうち苦味物質(塩酸キニ-ネ、同ストリキ-ネ)応答で両種間の差異が顕著であった。 4)核酸関連物質17種のうち、両種間で有意の差異が生じたのはアデノシン応答のみであった。 5)両種間で応答に差異のあった刺激物質のうち、典型的な試験刺激物質となり得るものはL-Pheとアデノシンである。 6)キメラの舌咽神経応答は生後1年未満であれば神経の起源の種の応答(種由来の神経応答)に依存するが、その後は、加令とともに、X.l.の応答性が優占する傾向がみられた。
|