研究課題/領域番号 |
63540581
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
森谷.常生 ツネオ 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (80002244)
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研究分担者 |
宮下 洋子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60045549)
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キーワード | サケ,Oncorhynchus keta / 降河行動 |
研究概要 |
円型の水路実験槽を作成し、サケ稚魚の流水に対する遊泳行動を観察してきた。サケ稚魚を浮上期(孵化後、卵黄が消失するまで産卵床の中で過ごし、その後ジャリの中から泳び出し、遊泳行動を開始する)から実験水槽内の流水中で飼育を続けた場合、稚魚は水流に抗して一定場所に定位する行動(頭を流れの上流方向に向け、一定場所に停まろうとする)をとり続けた。孵化後130日目まで観察を続けたが、この間、流水に添った遊泳行動(水流に順向)は示さなかった。しかし、浮上した後の稚魚を一定期間止水に飼育し、その後流水中に放してみると、稚魚は直ちに流水に添って遊泳(順向)することがわかった。この行動は数日間持続するが、その後また正の向流性(頭を上流に向け、水流に抗して停留する)にもどる。こうした水流に添った遊泳行動を示するのは孵化後3ヶ月までの期間であり、それ以降日数の経た若魚では、この行動は観察されなかった。流速5〜7cm/秒の流れの中で、サケ稚魚は毎秒17cmの速さで積極的に流水に添って遊泳する。この行動は長いもので10日から20日ほど続いた。遊泳スピードと持続日数からサケ稚魚は産卵された場所から河口まで充分到達できるという結果が得られた。今後さらに、水流に順向した遊泳行動の発現に必要な止水飼育期間、および、止水飼育日数と水流に順向した遊泳行動の継続日数との関係、水流の速度変化にともなう反応性の違いなどを細かく、観察していく。
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