研究概要 |
昨年度ニワトリ松果体の入gt10CDNAライブラリ-から新たにクロ-ニングした2種類のアリルアミンNATのCDNAについて,さらに知見を得るために以下の実験を行った。 ノ-ザンブロット法より,P-NAT-3は脳と腸に,またP-NAT-10は腎臓にのみ特異的に発現していることが判ったので,各NATの組織内分布をinsituハイブリダイゼ-ション法と免疫組織化学的方法で検討することにした。まず,免疫組織化学的検討に用いる抗体作成のためのタンパク質を得るため,各CDNAを数種の発現ベクタ-に組み込んでタンパクの合成を試みたが,いずれも微量のタンパクしか合成できず,分離精製するまでには到らなかった。現在,これについては継続して検討を行っている。次に,in situハイブリダイゼ-ション法を行うために,単離した2種類のCDNAから^<35>S-UTPを基質として,RNAポリメラ-ゼを用いてCRNAをin vitroで合成した。あらかじめ作成しておいた脳および腎臓の薄切片とcRNAをハイブリダイズしたのち,オ-トラジオグラフィ-を行った。その結果,腎臓組織切片でpositiveな結果が得られた。エオシン-ヘマトキシリン染色した隣接切片との比較から,Positive部分は腎臓の近位尿細管細胞にのみ現われていることが判った。ヒトの腎臓では,近位尿細管細胞を介してパラアミノ馬尿酸や薬物代謝産物などが尿細管へ分泌されることが知られているので、ニワトリの腎臓でも同じように近位尿細管細胞を介してアミン化合物の代謝が行われているのではないかと考えられる。脳については,現在のところPositiveな結果が得られていない。今後,ハイブリダイゼ-ションの条件やプロ-ブなどをさらに検討する予定である。
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