研究概要 |
本年度は昨年度に引き続き行った研究と、計画年度の総括を兼ねて新しく行った研究に分けられる。前者については:1.オスのヤマカガシを用い、死亡率の低い秋期における副腎除去方法を確立した。更にそれが血清塩(Na,K)に与える影響を、術後5日、10日および15日について検討した。2.上記副腎除去がグルコ-スに与える影響を、同様に術後5日、10日、15日について検討した。3.副腎除去個体にコルチコステロンおよびアルドステロンの投与を行い、それらが上記1、2に示される点について観察した。 本年度に新たに行った実験として、シマヘビおよびアオダイショウ(少数)について、前記2、3を試みた。その結果をヤマカガシで得られた結果と比較し、ヘビ類に共通と認められる副腎機能について考察した。これらについては以下の結果を得結論を与えた。4.ヘビ類において副腎は主として血液のK濃度の正常値維持に重要な働きをもち、副腎の機能が低下したときは血液K濃度は著しく上昇する。それに対して、血液Na度は副腎に依存する程度が低く、副腎の欠損によっても大きな影響は受けない。5.血液のグルコ-ス濃度は副腎の欠損により著しく低下し、正常値の10%以下に至る。これによって体の生理機能は停止にちかい状態に至ることが認められた。6.上に示された異常は主として副腎皮質ホルモンの欠損によってもたらされるが、哺乳類と異なり、コルチコステロンはミネラロコルチコイドとして働くことが推察された。この点はは虫類の副腎皮質ホルモンと哺乳類のそれと大きく異なるところである。
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