研究課題/領域番号 |
63540601
|
研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
上村 晴子 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (00147985)
|
研究分担者 |
中村 澄夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (80104496)
広浜 徹 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (90101211)
|
キーワード | 心房性ナトリウム利尿ペプチド / σ-ANP / 浸透圧調節 / 甲状腺ホルモン / 魚類 / ヒキガエル |
研究概要 |
1.魚類の心房性ナトリウム利尿ペプチド様物質(以下、ANP)について、(1)円口類、板鰓類、硬骨魚を含む魚類13種の心臓を抗ヒトANP抗体を用いた免疫組織化学法で調べたところ、アイナメとシビレエイ以外は全て陽性反応示した。ラジオイムノアッセイ(RIA)では、上記2種を含む全ての種の心臓抽出物と血液にANPが検出され、その含量にはかなりの種差が認められた。(2)コイの心房・心室抽出物をほゲル濾過とTIAで分析し、分子量が哺乳類のα-、β-、σ-ANPに相当する3種のANPが存在すること、特にσ型(ブレホルモン)が多いことを明らかにした。(3)ANPは心筋細胞中の分泌顆粒に存在する。(免疫細胞化学法)。(4)淡水適用のウナギを人工海水に移し、心房・心室における経時的形態変化を免疫組織化学法および免疫細胞化学法などで調べた。移行後1日では心房筋細胞中のANPは減少、7日後ではゴルジ体が著しく発達した。心室筋細胞では移行後1日のものにゴルジ体の発達がみられた。心房筋細胞の各分泌顆粒のANP免疫活性は対照群に比べ、1日後では低く、7日後には高くなる。以上の結果は、ウナギにおけるANPの合成・放出は環境塩濃度の変化に対応して変化することを示唆する。ーー2.ヒキガエルのANPについて。(1)幼生の心房・心室筋細胞には外鰓期から分泌果粒が現れる。発生初期に甲状腺または下垂体の原基を除去してもANPの合成は正常固体と同時期に開始される(免疫組織化学法)(2)成体心筋細胞内には大小2種の果粒があり、いずれもANPを含む。(3)ヒキガエルは繁殖期になると水に入る。繁殖期の固体では、非繁殖期の個体に比べ、心臓、特に心房の心筋細胞の核が著敷く大きく、心筋細胞の示す免疫反応は強く(免疫組織化学法)、血中のANP量が多い(RIA)。これらのことから、繁殖期にANPが水やNaの代謝に何らかの役割を果す可能性が考えられる。
|