1.新潟堆積盆における上部中新統〜更新統中の水底堆積テフラのうち今年度はとくに西山油帯・中央油帯地域の推谷層、浜忠層、西山層中に存在するものについて詳細な検討を行った。すなわちこれらに存在する50層以上のテフランについてその分布、存在層準、産状および堆積構造、記載岩石学的特徴を検討し、水底堆積テフラの運搬・堆積機構を考察する基礎的データを収集した。 2.また以上の検討から、八石油帯、中央油帯、西山油帯に共通して分布するテフラを2層新たに見出した。すなわち武石パミス質(Tsp)テフラ群と不動滝パミス質(Fup)テフラで、これらは八石油帯では菅沢累層下部に、中央・西山油帯では西山層中部に存在する。このことより、従来明確でなかったこの層準の対比に確証を与えた。 3.西山油帯の西山層上部に存在する稲川火山灰から稀少鉱物である大隅石を新たに見出した。 4.浜忠層および西山層に存在する白色細粒ガラス質テフラについて、その〜ガラス質テフラの堆積構造については従来検討されることが少なかったが、今回、粒度特性やその垂直・側方変化の検討により、これらのうちにはタービダイトにより形成されたもがあることを明らかにした。 5.魚沼層群上部および西越層中に存在し、広域分布を示すピンク火山灰(SKO20)についてその運搬・堆積機構を野外における堆積構造の観察と粒特性の検討にもとずき考察した。その結果、下位のピンクユニットはfalloutテフラ、上部のゴマ-ピソライトユニットはashflow堆積物と考えられる。 6.南九州地域や大阪地域など、研究の比較対照のために他地域のテフラについて予察的検討を行った。
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