火山噴火によって放出れれたテフラは陸上ばかりでなく、水底にも数多く堆積している。しかし火山噴火から水底における定着にいたるまでのその一連の運搬・堆積機構の解明はほとんど行われてこなかった。しかし近年、国際的にも水底堆積テフラの形成機構に関する関心が高まっている。 そこで当研究では、多様な層相と形成機構を示す水底堆積テフラが数多く挟在する新潟新生代堆積盆を主なフィ-ルドとして、層序学的研究を基礎に置きつつ、それらの運搬・堆積機構に関する基礎的研究を行った。とくに新潟県中央部の西山・中央・八石油帯については詳細な野外調査を行い、70層以上にわたるテフラについてその産状や堆積特性それにその側方変化を検討し、研究の基礎的資料とした。また当研究質による主要設備である超微粉乾式越音波ふるい装置を活用して、粒度組成の垂直および側法変化を検討し、その形成機構を考察する重要なデ-タを得た。以上により水底堆積珪長質テフラの層相を14のタイプにモデル化し、それぞれのタイプごとの形成機構を明らかにした。なおこれらの検討の過程で、火山灰中から世界で初めて大隅石と紅柱石を発見した。 以上の検討の中で特筆すべき成果は、水底堆積テフラの形成機構は(1)水底降下、(2)ash clond、(3)水底流走、(4)エピクラスティックに大区分されるが、このうち水底流走テフラには陸上噴火によるash flowが水域に流入してタ-ビダイト化したもの、あるいは水底噴火による噴煙柱の底部から発生したタ-ビダイトがかなりの程度に存在することを具体例で示したことである。これらをash flow turbiditeとよぶことにしたが、これは水底堆積テフラの主要な運搬・堆積様式の一つであると考えられる。
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