研究課題/領域番号 |
63540610
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
矢野 孝雄 広島大学, 理学部, 助手 (30133151)
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研究分担者 |
鈴木 茂之 岡山大学, 理学部, 助手 (00183418)
宮本 隆実 広島大学, 理学部, 助手 (00090548)
沖村 雄二 広島大学, 理学部, 教授 (60033825)
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キーワード | 中国山地 / 吉備高原面 / 脊梁面 / 山砂利 / 傾動地塊 / 山地形成論 |
研究概要 |
中国山地の形成機構については、これまでに、曲隆山地ならびに地塊山地という2つの異なる見解が提出されてきた。この研究においては、中国山地の形成過程に関して、次のような成果が得られた。 1.広島県三次市南方〜島根県掛谷町には、吉備高原面・脊梁面を横断する方向に海成中部中新統が断続的に分布し、いずれも南側が相対的に沈下するE-W性断層群によって、ひきづり(drag)をともなう地塊状の変形を被っていることが明らかになった。 2.鮮新統〜更新統と考えられている。"山砂利層"に関しては、(1)平滑な基底面をもって比較的広範囲に分布する"扇状地型"、ならびに、両側を急傾斜不整合面に境され狭長な分布を示す"河谷型"の2つのタイプに区分されること、 (2)後者のうち、吉備高原南縁〜瀬戸内沿岸に発達するものは、基底高度変化・礫組成てなどから南流河川群の河床礫層であり、しかも、それらには谷底高度を異にする複数期の堆積物が含まれていること、などが明らかになった。 3.(1)接峰面図や備北層群の構造当高線図にあらわれるように、吉備高原面・脊梁面とも北方へ緩傾斜していること、 (2)吉備高原面上を北流し、脊梁山地中に先行谷をうがって日本海へ注ぐ江川水系は、脊梁山地の隆起に先行して存在していた古い北流水系のレリックであると考えられること、などとも総合すると、中国山地は、北方へ緩斜する単一の隆起準平原として発生し、その成長過程おいてE-W走向・南側沈下の階段断層(step faults)によって地塊化された複合傾動地塊山地である、と結論される。上述した断層の変位形態からみると、地塊境界は撓曲帯としてあらわれ、また、吉備高原から南流する旧河川群は、瀬戸内地帯の相対的沈降運動によって発生した必従河川群であろう、と推論される。 複数の形成年代をもつ"山砂利層"の編年が、今後の重要課題である。
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