研究概要 |
1.二枚貝類に関する成果。 (1)神奈川県大磯丘陵の中部更新統二宮層群産のシラスナガイ属二枚貝2種の椎貝の原殻の形態,歯の発達様式を走査型電子顕微鏡を用いて検討し,その結果を生活史のわかる現生種のデ-タと比較した。その結果,2種は近縁であるのにかかわらず互いに異なる発達型を持っていたことが推定された。(日本古生物学会報告・紀事に投稿中)(棚部による) (2)日本各地の干潟に生息する二枚貝(オキシジミ,カガミガイ,アサリ,シオフキ)について,殻の成長と年齢,環境(水温)の相互関係を調査・研究した。その結果,これらの種の殻内部に容易に識別できる年輪を認めた。この年輪を指標に,温度に依存した成長線の付加パタ-ンの地理的変異を明らかにした(棚部準備中)。 (3)古生代以降のイタヤガイ科二枚貝の時空分布を歴史生物地理学的観点から考察する(東大資料館紀要に公表)とともに,現生・化石種の殻形態を遊泳との関連において流体力学的に検討した(準備中)(速水による)。 2.頭足類に関する成果(棚部による) 現生・化石頭足類の顎片の諸特徴を比較形態学的に検討し,その進化学的意義を考察した(ドイツ古生物学会誌に共同発表)。さらに現生オウムガイの受精胚を素材に,胚発生と初期殻体形成について考究した(準備中)。 3.その他の成果 有柄ウミユリ類の付加骨格の成長パタ-ンを,酸素同位体比の分析結果から検討し,その生活史上の意義を考察した(大路による)。
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