研究課題/領域番号 |
63540641
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
庄野 安彦 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80013481)
|
研究分担者 |
草場 啓治 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60186385)
菊地 昌枝 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (00005951)
|
キーワード | 石英 / 衝撃ガラス / 衝撃加圧実験 / 電顕観察 / 衝撃変成 / 衝撃変形組織 / ラメラ構造 |
研究概要 |
隕石の高速衝突により生成する岩石鉱物の衝撃変成のうち、テクト珪酸塩鉱物のガラス化は最も興味ある現象の一つである。本研究では、衝撃加圧により生成したガラスの微視的構造およびガラス化の機構を調べる目的で、石英の衝撃加圧試料回収実験を行った。石英単結晶の (001) 、 (100) および (210) 面円板状試料をステンレス鋼製の容器に収納し、1段火薬銃および2段軽ガス銃を用いて30GPaから83GPa領域まで衝撃加圧した試料を回収し、粉末X線回析法による相の固定および透過型電子顕微鏡下の衝撃変形組織の観察を行った。ガラス化は40GPaから始まり、50GPa附近で完了する。ガラス化圧力の衝撃方向に対する依存製は顕著でない。電顕観察によりガラスと結晶からなる微細なラメラ構造が見られ天然の衝撃変成ガラスと類似した組織を持つことを確認した。ラメラの方向は、最大剪断応力から期待される。衝撃加圧方向に対し45°の方向とは必ずしも一致せず、 (102) 、 (103) などの滑り面が活性化される場合が多い。又、衝撃液面に平行あるいは垂直なラメラもしばしば観察された。特異な紡錘形状を示すガラスラメラは、高圧下の高密度状態から圧力が解放される際、2倍に及ぶ体積膨張が起こるためと解決される。高分解能電顕観察により、衝撃ガラス中に微細な結晶が散在している組織が認められ、溶融ガラスとは異なる機構によりガラス化が起こったことを強く示唆する。衝撃ガラスの屈折率は溶融ガラスより大きく、高密度であることもガラスの微結晶モデルにより説明できる。石英が六方晶の結晶であり、卓越した劈開面をもたないことなどが衝撃変形にも反映していると考えられ、今後同様な実験を長石や薫青石などについて行う必要があろう。
|