今年度はゼオライトの前処理法を検討し、試料を作製することが目的である。そのため、試料として天然ゼオライトとして含有量の高いシャプチロルフッ石岩(秋田県二ツ井産)とモルデンフッ石岩(宮城県白沢産)を選び、合成ビオライト工業的に広く利用され安価なゼオライトA、Xである。 1)イオン交換法による前処理 IMFecl_3溶液は十分な溶解がなく、Fe沈澱物が生じる。0.01Mでは透明な溶液となるので試料の交換処理を室温で行った。しかし、処理試料のなかでゼオライトAとXはX線により非晶質となることがわかった。溶液のpHが1.9のため、ゼオライトがゾル化したものである。一方、天然試料は構造が保たれ、耐酸性の高いものであった。FeCl_2溶液についても同様な結果となる。温度の影響は溶液に表われ、濃度の低い0.01Mでも高温(100°C)ではコロイド沈澱が生じてしまう。その結果、沈澱が生じない最も高いpH=3に調節した溶液を室温下で用いるのが最も交換量が高く、構造が保たれていた。この条件下でのイオン交換処理試料を用意した。 2)担持法による前処理 上記の実験結果から、pH3の溶液で十分にイオン交換を行い、その後0.1MNaOHを滴下しpH6の溶液とした。これによってFe(OH)_3の沈澱がゼオライト表面に担持することがわかった。これ以上のpHでは沈澱量が多いため、SEM観察により表面に均一に担持しない。 3)前処理試料の鉱物学的性質 交換量を分析により求めると、担持法では4試料とも約220meq/100g、であったが、イオン交換法では天然試料の交換量が小さかった。また耐熱性も高かった。次回はこれら試料によるNH^+_4とPO^<3->_4の吸着を行う。
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