研究概要 |
熱水合成高圧装置を使い、酸素分圧FMQ系buffer、1kbarと2kbarの実験を行った。(Cum,Act)_<40>Pl(Ano)_<40>Qz_<20>系において、圧力増加に伴いカミングトン閃石の安定領域が狭くなる。しかしながら、1kbarにおいてCaの多い(Cum,Act)_<35>Pl(An_<20>)_<40>Qz_<25>系や(Cum,Act)_<30>Pl(An_<40>)_<40>Qz_<30>系ではCumの安定領域が広がらなかった。その他に比較的組成の似た花崗岩や閃長石を用いて同じ条件でCumが安定であるか確かめたが、Ca角閃石やNa^-Caの角閃石が安定で、カミングトン閃石は確認できなかった。今回の実験は低圧で、マグマと共存する高い温度条件ではあったが、限られた組成条件でカミングトン閃石が安定に晶出することがわかった。Caの多い(Cum,Act)_<35>Pl(An_<20>)_<40>Qz_<25>系や(Cum,Act)_<30>Pl(An_<40>)_<40>Qz_<30>系では、液相と共存するCumの安定領域は1kbarでも拡がらなかったが、Caの低い組成では5kbarと同じ広がりの安定領域をもつ。液相と共存するの低い組成では5kbarと同じ広がりの安定領域をもつ。液相と共存するclotsは変成岩の溶け残りでなく、酸性マグマのキュ-ムレイトの可能性も高い事を示す。5kbarの固相領域のCa角閃石は藍閃石成分がかなり固溶しており、1kbarでも固相領域ではカミングトン閃石は低温側にかなり広い安定領域をもっているので、低い温度での角閃石組成変化を検討することはさらに変成岩中のCa角閃石とNa角閃石の固溶関係を解明する上でも大いに役に立つと思われる。 EPMAの分析の結果、1〜2kbarではカミングトン閃石(Cum)や陽起石(Act)にチェルマック閃石、リヒテル閃石や藍閃石などの成分がほとんど固溶していない。このため5kbarに較べ、Ca角閃石とMg・Fe角閃石の間の固溶間隙は明確である。
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