研究課題/領域番号 |
63540651
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
嶋本 利彦 広島大学, 理学部, 助教授 (20112170)
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研究分担者 |
北村 雅夫 京都大学, 理学部, 助教授 (70004489)
早坂 康隆 広島大学, 理学部, 助手 (10198830)
鈴木 盛久 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (10033888)
原 郁夫 広島大学, 理学部, 教授 (50033824)
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キーワード | マイロナイト / 変形微細組織 / 大陸性プレート / 準脆性的変形 / 岩石のレオロジー |
研究概要 |
本科学研究の予算は、補欠選考として昭和63年10月に申請予算額から大幅に削減されて認められた。この時期が、研究代表者のオーストラリア国への出張期間(昭和63年10月3日から同年12月21日まで)と重なったため、計画調書で申請した野外調査は大幅に縮小せざるを得なかった。結局本年度の予算は、変形微細組織を観察するための微分干渉装置一式と付属消耗品の購入、および研究協力者による1回の野外調査旅費に使用せざるを得なかった。しかし、申請した研究は科学研究費の認可の如何に関わらず続けられており、本年度の成果は以下のように要約できる。 まず、嶋本(1989)は、岩石のレオロジーに関する実験結果に基づいて、日本列島のような島孤はせいぜい厚さ20km前後の薄皮一枚の状態にあることを指摘し、島孤のレオロジー的構造によって、活断層の分布、地震の発生する深さ、内帯と外帯の変動様式の違いなどを合理的に説明した。Shimamoto(1989a)は、大断層またはプレート境界に沿う変形様式を考察し、浅所の脆性変形と深所の塑性流動の中間的性格をもつ準延性領域の変形が、プレートが最も強い相互作用をする深さ、および大地震の震源域において重要であることを現時点のデータを総合して、論じた。さらに、Shimamoto(1989b)は、S-Cマイロナイトと呼ばれる岩石がこのような準延性領域で形成された可能性が強いことを、実験データと自然の岩石の特徴を比較して示した。以上の研究によって、今回申請したマイロイトの形成機構の再検討が、プレートの相互作用の大きさを定量的に見積もる上で極めて重要であることが明確に示された。その結果、本研究のグローバルテクトニクスにおける位置づけがなされた。次年度は、研究代表者の東京大学地震研究所への転任(平成1年2月1日付)に伴い研究組織を再編する必要があるが、野外調査によるマイロナイトの研究を中心に、本研究を一層進めるつもりである。
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