前年度の研究において含水高圧相フェ-ズBがスピネルナペリクレ-ス+水に高圧分解し、高温で分解溶融することが明らかになった。本年度は、このフェ-ズBの高圧分解の様式をさらに詳しく定量的に明らかにするとともに、H_2O-SiO_2-H_2O系の未知の含水相の存在の有無を調べることを中心に研究を行った。 フェ-ズBの分解溶融と高圧分解様式に関しては、20GPaで1500℃以上で以下のように分解溶融することが明らかになった。分解溶融の様式は、温度の上昇とともに1500℃以上では(1)ペリクレ-スナスピネル+液、さらに高温において(2)ペリクレ-ス+変型スピネル+液、そして(3)ペリグレ-ス+液のように融解が進む。一方高圧分解反応に関しては、約22SPa以上の圧力でペリクレ-ス+スピネル+水に分解し、さらに25GPa以上ではペリクレ-ス+Mg-ペロブスカイト+水が安定に存在することが明らかになった。一方MgO-SiO_2-H_2O系において未知の相が存在する可能性についても実験的に調べた。今回の実験によると、14GPaにおいて約1200℃以下ではフェ-ズBが安定であるが、これ以上の温度領域ちおいて未知の高圧相が存在することを示す結果をえることができた。EPMAによるこの新高圧相の分析の結果、この相はフェ-ズBに比べてMgOに富む化学組成を持っており、14GPa、1200℃以上の温度領域でフェ-ズBがこの未知相とSiO_2(スティショバイト)に分解している可能性もある。現在のところX線粉末回析によっては、SiO_2相の存在は確認されなかった。
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