研究概要 |
1.下川地域塩基性岩類の主成分分析:玄武岩および輝緑岩試料合計116個について全岩分析を行った結果、次のようなことがわかった。 (a)A=Na_2O+K_2O,F=FeO^t,M=MgoとしてAFM図へ分析値を打点したところ、ほとんどすべてが海嶺ソレアイト(Miyashiro etal 1970)の範囲に入り、この範囲に入らないものも極めてこれに近い値を示す。 (b)そのほかAl_2O_3-Na_2O+K_2O図、Na_2O+K_2O-SiO_2図、TiO_2-FeO^*/MgO図、TiO_2-S.I,図、Al_2O_3-S.I,FeO^*-S.I.図、MgO-S.I.図、Na_2O-S.I図、K_2O-S.I.図などにおいても、下川地域の玄武岩および輝緑岩が海嶺ソレアイトに属し、アルカリ岩系、カルクアルカリ岩系あるいは島弧ソレアイト、海洋島ソレアイトではないことを示している。 2.下川地域塩基性岩類中の単斜輝石の化学組成:輝緑岩および玄武岩13試料について合計155ポイントについてEPMA分析を行った。その結果次のようなことがわかった。 (a)Al-Si図、Al-Ti図から下川地域の塩基性岩中の単斜輝岩はソレアイト系列の塩基性岩のそれと一致する。 (b)TiO_2-SiO_2図で見ると玄武岩ではほぼ大洋底玄武岩の輝石の組成に一致し、輝緑岩ではややはずれるものが多いが大部分が大洋底玄武岩のものに一致する。 (C)CaSiO_3-FeSiO_3-MgSiO_3図上に単斜輝石の化学組成をプロットするとNa_2caプレート(Mazzullo and Bence、1976)あるいはGalifomia馮から採取された、海嶺ソレアイト中の単斜輝石の組成に一致する 3.以上の結果を総合すると、下川塩基性岩類が海嶺型ソレアイトであることは明らかである。
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