研究概要 |
Y型ゼオライトNa_<50>[(Al0_2)_<50>(Si0_2)_<142>]250H_20(東ソ-社製)の試料中のNa^+をMn^<2+>に置換してMn^-ゼオライトを作った。化学分析、プラズマ発光分析、X線元素分析等により、Mn吸蔵量を求めた。X線回析EXAFSの結果から大部分のMn^<2+>がス-パ-ケイジ中に存在する。分析結果から,試料中にかなり均一に分布していると考えられる。我々の作った2種類の試料のMn量,平均イオン間距離は10^<-3>mol/g、9.4Aと10^<-4>mol/g、20Aである。磁化率の温度依存性を300kから20mkまで測定し、Mn濃度の高いサンプルでは300kから約50mkにわたってGurie-Weiss則が成り立ち、Curie定数は4.0×10^<-3>emu/g、Weiss温度は約-50mkである。Mnの有効磁気モ-メントは5.58μ_Bで、フリ-に近い値を持つ。30mk付近で磁化率はピ-クをもち、相転移を起こす事を示している。1K以下の磁化率の温度依存性、周波数依存性から、緩和機構が単一の緩和時間ではなく、分布を持った緩和時間によって支配されている事が明らかになった。特に低温側ではスピン間の長距離相関を考慮したColeの式を必要とする。ESR実験を300kから40mkまで行った。300kから4kの間でg値は2で、線巾も温度に依存しない。線型はGauss型で、イオン間相互作用は双極子相互作用が主である。X-バンドの測定では線巾は650gaussで双極子相互作用220gaussと超微細構造430gaussの和としてほぼ説明がつく。低温における磁気秩序に寄与するのは主としてこの双極子相互作用である。1.3kと5Tの磁場を初期条件として断熱消磁を行い、約80mkの低温生成に成功した。この温度までスピン系の温度にゼオライトの格子系の温度が追従してくる。消磁過程では最低温度近くまで外部磁場と生成温度は比例する事から、内部磁場は小さいと考えられる。
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