1.準静的状態における光屈折性の評価 (1)位相共役波強度の干渉縞間隔依存性、コントラスト依存性、光量依存性など、BSOの基本的な光学的特性は、禁制帯中にアクセプタとドナーの2準位を含む伝導帯伝導モデルで定量的によく説明できることを示した。 (2)最大回折効率を与える干渉縞間隔から光屈折性に関与するアクセプタ密度を決定する方法を提案し、これから、アンドープ結晶では、約1-3×10^<15>cm^<-3>のアクセプタ準位が存在することを明らかにした。 (3)旋光性を考慮した位相共役波強度の計算機シミュレーション法を開発し、位相共役波発生効率のBSO厚さ依存性は結晶方位により全く異なり、空間静電界が<001>方向となる配置が最良であることを示した。 2.空間静電界形成のダイナミクスの解明 (1)書き込み時・消却時の位相共役波の過渡応答においても、伝導帯伝導モデルが成立することを示すとともに、ドリフト領域では、結晶による応答速度の差異は小さいが、拡散領域においてはアクセプタ密度が大きい程、応答速度が速くなり得ることを明らかにした。 (2)ランニングホログラムによる2光波混合の光増幅率の測定から、(ドナー密度)・(光イオン化断面積)が決定された。 3.電気的特性の評価 (1)定常光電流、過渡光電流等の電気的特性測定から、BSO結晶の基本的物性定数を決定した。この方法により求めたアンドープ結晶の移動度・拡散距離は、それぞれ、0.015-0.04cm^2/V・S、2.3-2.7μmの範囲にあり、光学的特性とよく一致することを明らかにした。 (2)光電流、光刺激電流のスペクトル特性から、ドナーのエネルギーの準位、光イオン化断面積に関する新たな知見を得た。 (3)干渉縞形成時の定常光電流からアクセプタ密度を決定する方法を提案し、簡単な電気的特性の測定のみで、回折効率・応答速度等の光学的特性が評価可能となることを示した。
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