多結晶Si膜が、印加高周波電力(0〜30W)、堆積温度(Td=620〜770℃)および水素希釈比(H_2/SiH_4=0〜8)などの堆積条件を変化させて溶融石英基板上に堆積された。 1.[アンド-プ膜の構造変化及び安定性]印加高周波電力の変化により、ランダム、<100>および<110>軸配向した多結晶Si膜を選択堆積することができた。この構造に与える高周波電力印加によるプラズマ発生の効果は、Tdの減少またはH_2/SiH_4の減少(SiH_4分圧の増加)による効果と等価であることが判った。更に、プラズマ発生は堆積されたSi膜の表面を究めて平滑にする効果、及び堆積後の外来汚染に対する安定性が大きく改善されることなど、工業的に有効な効果をもっていた。配向の変化は堆積速度および吸着Si系ラジカルの表面拡散係数の変化によって説明できた。また、プラズマ印加による表面の荒れの改善は、スパッタリング効果によって説明した。なお、上記成果は金沢大学から特許(日本、米国)請求中である。 2.[ド-ピング効果]プラズマを印加した(PECVD)Si膜のリンおよびボロンに対するド-ピング効率は、プラズマを印加していない(LPCVD)膜に比較して大きく改善された。配向性に関しては、1.のアンド-プ膜のそれと類似であった。また表面の荒れに関しては、LPCVD膜は中程度ド-プ量で荒れが究めて大きくなるのに対して、PECVD膜は全ド-プ量範囲で変化が無く平滑であった。 3.[薄膜トランジスタ(TFT)の評価]1.の多結晶Si膜上に形成したTFTの電界効果易動度を評価した結果、強い<110>配向をもつPECVD膜が最も高く、ランダム配向をもつLPCVD膜は最も低かった。これらの結果は結晶粒サイズ、配向の強さ、表面の荒れの変化に結び付けられた。
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