研究概要 |
色素としてはエオシンY,エリトロシンB,高分子材料としては、ポリビニールアルコール(PVA)、ゼラチンを用いて、ガラス基板上に膜状の試料を作製し、アルゴンレーザー(515mm)による位相共役波発生の実験を行った結果、以下のことが明らかになった。 1.恒温恒湿器を用いて質の良い試料が作製できる条件 PVAの場合は、温度35℃、湿度70%、ゼラチンの場合は、温度6℃、湿度62%が最も良質の試料が作製できることがわかった。 2.色素が退色せずに位相.共役波を発生し続ける時間(寿命) 色素が同じでも、マトリックスがPVAの場合の方がゼラチンに比べて数倍から1桁程度寿命が長いこと、また、PVAの場合には、100℃で30時間ベークすると寿命が長くなることがわかった。これは、試料中への空気中の酸素の混入が関与しているためと思われるが詳細については明らかでない。 3.位相共役波の縮退4波混合成分とホログラフィー(記録)成分 エリトロシンB含有PVA膜は、両成分とも1%を越える発生効率が得られ、こされ2つの成分を同時発生できる特性を利用した位相共役干渉の素子としては現在のところ最も適していることが明らかになった。 今後の課題としては、同一色素でもマトリックスによってホログラフィー成分が異なることの原因解明、アゾ系色素に関して、偏光特性も含めた位相共役波の発生効率の測定などが掲げられる。
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