GaAs半導体レーザの温度制御装置を温度掃引出来る様に改良して、IBi分子の^3Π_1←^1Σ^+電子スペクトを0.780と0.795μm領域で測定した。これを帰属するに当りRb原子のD_1線とD_2の超微細構造を標準スペクトルとして、υ=7←2、9←2、10←3、12←3、12←4、13←4、15←4等のQ等をBr^<79>とBr^<81>の同位体種について帰属し分光定数を決定した。この結果についてしは、昭和63年第35回応用物理学関係連合講演会にて報告し、詳しい内容を論文にまとめ、J.Mol.Spctrosc.に投稿した。 0.83〜0.84μm領域についてもIBr分子のスペクトル線を帰属する事ができた。この領域の波長標準には、Arを封入したホローカソードランプを用いてオプトガルバノ信号を検出し、これを基準にした。この結果は、第36回応用物理学関係連合講演解で報告する。 ICl分子については、0.795μmの領域についてRbのD_1線を波長標準に用いて、υ=4←5と2←4のスペクトルをCl^<35>とCl^<37>について帰属することが出来た。結果については、第49回応用物理学学術講演会で発表した。 ICl分子の0.83〜0.84μm領域のスペクトルは強度が弱いので、1mのガラスセルの温度を60℃程度に上昇させる必要があった。波長標準には、ArやKr等希ガスのガルバノ信号が有効であった。 ICl分子のスペクトルは、IBrに較べて回転定数が大きいので回転の微細構造の間隔が広く、Cl^<37>の同位体の割合が少ないので、Q枝を帰属するのは困難ではない。これに比してIBrでは、2種の同位体の割合が等しい事もありスペクトルは極めて密なものとなる。そこでIBrは、IClのスペクトル間隔が広くなる高い回転準位間の遷移の領域で有効である。 すなわち、IClとIBrは相補的な標準スペクトルとなり得る。
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