研究概要 |
沃素化ハロゲン分子の高分解能レ-ザ分光により観測されるスペクトルは、振動回転微細構造によりきわめて多数のスペクトル線となっている。そこで、温度掃引する掃引信号、周波数マ-カ、吸収スペクトル、レ-ザ出力強度、波長標準とするガルバノ信号の5つの信号をデ-タベ-ス化するため、GPIBインタフェ-ス基板を購入しPC9800マイクロコンピュ-タにより制御するよう分光システムの改良を行った。このシスナムの概要は、第37回応用物理学関係連合講演会で発表する。 この分光システムによりIBr分子の0.83-0.85μmk領域の電子スペクトル(A←X遷移)を測定しv=10←6、5←4、7←5微細構造を解析し、パンドオリジン、Q枝の回転定数、非調和項、振動回転相互作用定数率を決定した。この報告、分子構造総合検討会(札幌、1989)で行った。 決定した分光定数によりこの領域のスペクトルマップを作成した。Q枝については、計算値と実測値が良く一致する。P.R-枝は、核スピンによる超微細構造に分裂しておりこれ等スペトル線を波長標準とするには、この超微細構造を解析する必要がある。しかしながら、79Brと81Brの2つの同位体があるのでQ-枝は、0.3〜0.1cm^<-1>おきに明瞭に現れるので、波長標準スペクトルとして適当なものである。 ICl分子の場合は、回転定数がIBrより大きく振動数も高いので、回転微細構造の間隔が広がり、注入電流掃引を行なった場合Q枝が含まれないことがある。37ClやP枝,Rー枝の解析を行なう事により実用的なものとなる。I_2分子は蒸気圧が室温では十分得られず加熱する必要があり、また0.83μmより短波長側ではスペクトル線がほとんど現われない。 このような観点よりIBr分子のQー枝を波長標準とするのが最も適当であると結論を得た。
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