本年度に実施した研究内容及びその主な結果は次の通りである。 1.一方向強化材の力学特性の同定試験 構造用複合材とし広く用いられているカーボン/エポキシ(T300/2500)の一方向強化単層板を作製し (1)静的材料試験を行ない異方性弾性体としての弾性係数を得た。 (2)振動法、パルス法により繊維強化方向、及積層方向のたて波伝ぱ速度の測定を行い、それぞれの方向のたて波伝ぱ速度を得た。その結果、繊維方向と積層方向では約3倍の速度差のあることが判明した。 (3)波動伝ぱ速度より動的な弾性係数を求めた結果、(1)項より求めた弾性係数と大きな差のないこと、従って0〜200KHz領域での弾性係数は周波数にほとんど依存せずほぼ一定であることが判明した。 (4)減衰率の周波数依存性についての研究は来年度実施の予定である。 2.積層材中の波動伝ぱ特性の解明 (1)各種積層構成の梁を作製し横衝撃試験を実施し梁の変位、表面ひずみ、支持端での荷重履歴等の測定を行った。その結果いづれの積層構成についても動的曲げ挙動から得られる見掛けの弾性係数は1で得られた値よりかなり低い値となることが判り、その原因を現在究明中である。 (2)1で得た弾性係数等を用いて、梁を伝ぱする横波の伝ぱ状況を数値計算により解析を行ない、(1)の結果と比較検討中である。
|