本研究では温度上昇と共に降伏強度が増大する特異な塑性挙動を示す金属間化合物を応力緩和層に用い、主に蜜化硅素(Si_3N_4)と金属(SUS304、Nimonic80A)とを接合する条件及び得られた接合体の強度と破壊特性を調べ、健全で高温強度の大きい接合体を得る方法を材料学的に検討した。 1.固相核酸接合装置の製作 低融点の共晶合金をロウ材とするロウ接法と異なり、固相拡散法では界面に低融点の化合物が生成されない限り高温強度の大きい接合体を得ることが期待される。そのため、プログラム温調器と200Kgfまでの荷重負荷機構を備えた接合装置を試作し以下の研究を行った。 2.接合用中間層および応力、緩和層として有効て金属間化合物の探索 Ni_3AL系の4種の金属間化合物(A)Ni_<3.08>Al_<0.92>、(B)Ni_3(ALB)、(C)Ni_3(Al_<0.64>Mn_<0.36>)、(D)Ni_3(Al_<0.4>Mn_<0.6>)について以下の私見を行い、中間層として(D)が最も優れていると結論された。 (1)セラミックスとの反応性:いずれの化合物もSi_3N_4と突き合わせ、3〜40Mpaの圧力下で1273〜1573Kの温度に1時間加熱保持しても反応は起こらないが、両者間にNi箔を挟むと化合物(A)(B)では1573K、(C)では1473K、(D)では1223Kで接合する。 (2)熱応力緩和効果:これは中間層の厚みに依存する。0.1〜0.3mm厚の化合物(C)を用いSUS304とSi_3N_4を接合した場合接合面から〜0.5mm離れたSi_3N_4表面を起点として内部界面に向かって割れが進行する。中間層が1mm厚の場合Si_3N_4表面には割れは生じないが、縦断面には中間層-Si_3N_4界面より微視割れが発生する。化合物(D)では接合体は健全。 3.接合体の郷土と破壊特製、化合物(D)の円板(φ10×t1)を中間層とするSi_3N_4とSUS304またはNimonic80Aとの接合体について引張試験した結果、いずれの場合も破壊強度は室温で10kg/cm^2で、破壊は常にセチミックス内部で起こる。これは熱応力緩和の方法をさらに工夫すればより強力な接合体を作製し得ることを示している。
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