前年度に引続き、セラミックス、ガラス等の硬脆材に適用可能で、経済性・生産性に優れた新加工法(VM/AFMプロセス)の適用性について究明した。本年度は実用加工機開発の前段階として、油圧プレスのような比較的低速度の汎用加工機が使用できる可能性について調べた。得られた主な成果は次の通りである。 1.下穴加工段階 (VMプロセス)の検討 (1)軸対称FEM解析を行ない、VMプロセスの原理的妥当性について検討した結果、従来困難と考えられた加工が、穴径比が小さければ可能であることが判明した。 (2)超高圧力加圧装置(最大2GPa)を試作し、ガラス板を用いてVM実験を行った結果、クラック抑制板を採用する手法が有効であることを見出した。こうして、100%の成功率で穴あけ可能な条件を究明すると共にクラック抑制板の有効な理由を解明できた。 2.仕上加工段階(AFMプロセス)の検討 加工穴の高精度化をはかるため、VMプロセスの後続加工として高圧砥粒流動加工(AFM)を導入してその適用性について検討した結果、前年度よりも加工穴精度および性状を一層改善できる手法を見出した。 以上のようにして、VM/AFMをシ-ケンスとする複合加工を採用すれば、広範囲の加工速度にわたって、硬脆材料の高精度穴あけがプレス加工様式により達成できる見通しが得られた。これらの成果は、日本塑性加工学会にて発表の予定である。なお、今後は、この方法が新しい微細穴あけ加工技術として展開できる可能性についても検討する予定である。
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