1.イットリアを2.5モル%および3モル%添加した部分安定化ジルコニアに対して、Cu-Kα線による正方晶ジルコニア(026)面およびCr-Kα線による(133)面のX線的弾性定数を決定した。応力測定の精度は後者の方が低く、かつ侵入深さも浅い。 2.ジルコニア・アルミナ複合セラミックスに対して、ジルコニア相およびアルミナ相の残留応力を別々に測定することから、巨視的応力および微視的応力に分離するとともに巨視的応力に対する複合則を検討した。 3.ジルコニア研削面に対して、X線回折線の半価幅によって塑性変形の程度が検出できることが明らかになった。また、X線回折法により、正方晶から単斜晶への変態量を測定するプログラムを作成した。これを破面解析に適用できることが可能となった。 4.アルミナの予き裂材および切欠き材について破壊試験を行い、破面近傍の残留応力分布のX線測定より非弾性域の深さを求め、その深さが破壊時の応力拡大係数の2乗に比例することを示した。これより、X線回折法が破壊機構の解析に有効であることが確認された。 5.セラミックス中のビッカース圧こんより発生したき裂からの繰返応力下でのき裂進展挙動は、圧こん残留応力の効果を加味した実質の応力拡大係数によって整理される。これより、小型試験片を用いることによってき裂の伝ぱ則が求められることが明かとなった。また、セラミックスの変動繰返荷重下での疲労寿命は、き裂伝ぱ速度の積分として求められ、き裂伝ぱ機構解明の重要性が明確となった。
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