研究概要 |
導電体,強磁性体,誘電体に注目し,電磁破壊動力学解析を行って,電磁場下のき裂材の特異応力場の総合的検討を行った。得られた成果を要約すると以下の通りである。 1.完全導体を仮定し,一様磁場内における貫通き裂を有する導電平板の磁気弾性波散乱問題を取り上げ,き裂の動的磁気弾性挙動を解明した。極低温下においては,導電体の導電率が大きくなるため完全導体の仮定が有効となる。数値計算を行い,動的曲げモ-メント拡大係数に及ぼす磁場の影響について詳細に検討した。 2.準静的電磁場を仮定し,き裂の動的磁気弾性挙動を理論的に検討した。導電率が小さく,高振動数の場には,準静的電磁場を仮定することができ,磁場の存在は磁気粘性効果を生ずる。数値計算を行い,貫通き裂を有する導電平板の曲げモ-メント拡大係数に及ぼす一様磁場の影響を解明した。上記解は,三次元表面き裂を有する導電平板の磁場破壊力学パラメ-タを評価するための基礎として有効である。 3.三次元表面き裂を有する導電平板の電磁破壊力学パラメ-タの近似的評価を与えるため,磁場内における貫通き裂を有する有限幅導電平板の非定常電流による電磁ねじりについて理論的検討を行った。また,電流による発熱・温度上昇評価の基礎的検討も行い,考察を加えた。 4.強磁場下のき裂を有する飽和強磁性平板の磁気弾性波動と動的特異応力に及ぼす誘導磁化・磁歪効果の影響について,基礎的検討を行った。 5.強電場下におけるき裂を有するPMMA(polymethyl methacrylate)の電気弾性波動と動的特異応力に及ぼす誘電分極・電歪効果の影響について,理論解析を行った。また,き裂を有する圧電セラミックスの動的電気破壊力学解析を行い,応力および電場の動的特異挙動を解明した。
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