高温クリープき裂成長に関しては、電気的な計測等、間接的な測定法によるものが多く、試験機を連続運転しながら顕微鏡にてinsitu観察し、き裂発生、成長挙動を明らかにしていく試みは少ない。ところで、高温クリープ条件では、き裂の発生寿命がきわめて重要であるばかりでなくクリープ変形に伴う金属組織の損傷挙動を明らかにすることが重要視されている。本研究では顕微鏡ビデオ装置により高温クリープ条件下での、切欠き近傍のき裂発生、クリープ損傷形成過程のinsitu観察を行った。 その結果、クリープ損傷とクリープ変形との相互の関係、クリープ損傷領域の経時的変化、クリープき裂発生時のクリープ損傷等について実験的に新しい知見を得た。 これらの知見をもとにして、クリープ損傷則を理論的に解析した。本理論解析はさらに厳密なものに発展させていく必要があるが、このような解析により、理論的にクリープ損傷を解析することが可能となる。 従来取り扱われた試みは、すべてクリープ損傷は架空のものとして考えられており、本研究にて、はじめて損傷を実際に観察し、実態として把握することが可能となった。
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