従来、FRM材の熱衝撃負荷を受ける動的設計に際し、それらを弾性体と見なして、その力学的挙動を解明すれば十分であると考えられて来た。しかし、高温で高応力が作用した場合塑性歪が生じ、しかも、構造物が早い塑性変形を強いられる時、塑性流動に粘性を持つ事が知られ、これらを考慮した設計の重要性が認識される様になった。そこで、上記の研究課題を遂行する事となった。この研究は、63年度より始められたもので、本年度行った研究は下記の通りである。 1.熱衝撃荷重を受ける二次元熱弾/粘塑性物体の基礎理論を確立した。 1.波線法とLaplace変換の直接変換法であるカクニアード法との併用による動的熱弾/粘塑性の基礎式を誘導した。 2.半無限体に作用する衝撃熱源による熱弾/粘塑性物体の動的応答の実験解析装置を製作した。 2.熱衝撃荷重を受ける球座標の熱弾/粘塑性物性の基礎理論を確立した。 1.球の断面一様加熱により生ずる熱応力波の焦点化現象の解析 この研究により、高熱応力現象が明確となり、この研究成果は、昭和63年8月東北支部日本機械学会講演会で発表した。また、日本機械学会論文集に掲載される。 2.衝撃加熱を受ける中空球の弾/粘塑性解析 本研究により、熱応力の弾/粘塑性解析が可能となり、この研究成果は、日本機械学会論文集に投稿中である。 3.衝撃負荷を受ける直交異方性厚肉球殻の弾/粘塑性解析 本研究により、異方性材の弾/粘塑性解析が可能となった。この研究成果は、1989年8月三重大学で行われる国際塑性学会で発表される。来年度は、上記の研究成果をより発展させ、種々の構成方程式の違いによる動的熱応力の初期応答に及ぼす粘塑性物性の影響を解明する。
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