熱衝撃を受ける熱弾/粘塑性問題は、最近まで、ほとんど解析させていない。また、有限要素法、境界要素法、差分法などの数値解析法を用いたとしても、正確に、熱応力波の伝ぱと、それに及ぼす、粘塑性物性の影響を把握することは不可能に思われる。そこで、本研究では、昨年度より、波線法により厳密に解析する方法を確率しようとするものである。そして、近年、特にその重要性が高まって来たFRM材の熱弾/粘塑性物性を考慮した強度解析に上記の方法を適用しその解の有効性を明らかにしようとするものである。以下、本年度に行った研究の概要である。 1.熱衝撃荷重を受ける球座標の熱弾/粘塑性物体の強度解析 (1)球体の断面一様加熱により生ずる熱応力波の解析 中実球の熱応力波の焦点化現象について、日本機械学会論文集及びJSMEInt.J.に掲載され、更に、解の収束性を高めた解析法は、国際的にも評価され、J.Appl.Mech.誌に掲載される予定である。また中空球の波線法を用いた熱応力波の解析方法についても評価されJ.Appl.Mech.誌に掲載される予定である。(2)衝撃加熱を受ける中空球の熱弾/粘塑性解析 粘塑性物性を考慮しても、熱弾性波の伝ぱ速度を越えないという知見を得、これを日本機械学会論文集に投稿し、掲載された。(3)熱的衝撃負荷を受ける直交異方性厚肉球殻の熱弾/粘塑性解析 FRM材の内、異方性材と見なせる物体について熱弾/粘塑性解析を行い異方性物性の効果を明らかにして、機械学会論文集に投稿した。 2.熱衝撃を受ける円筒座標の熱弾/粘塑性物性の基礎理論の確立波線法を用いて、上記の問題を解析する方法の基礎理論を確立した。来年度は、この基礎理論を熱衝撃を受ける円筒形物体に適用し、本解析法の有効性を明らかにする。
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