光スキッド式粗さ測定用センサを実現するためち、2つのタイプの方法でセンサを構成した。一つは半導体レーザをコリメートした光源からのビームを2本に分け、それぞれの対物レンズ系で試料面上と試料面より離れた位置に合焦させる構造である。もう一つは、対物レンズをアクチュエータで振動させて、試料面上で合焦した瞬間と、試料面から一定距離だけ離れた瞬間とを捉える構造である。いずれの場合も、試料面で合焦するのが光スタライス、試料面から離れた位置で合焦するスポットが光スキッドの役目を担う。後者は試料面上で100倍以上前者より大きくなり、粗さ成分を平滑する。 研究の結果、光スタイラスと光スキッドの両方を一つの対物レンズで実現できること、両方とも測定範囲の1/1000以上の分解能をもつこと、光スキッドが実際に一般的な粗さ面の空間周波数を平滑できること、しかし、解析格子のような規則的な変化をする面形状については単純な平滑フイルタとして働かないこと、スキッド法が外乱として混入する振動の影響を20dB以上低下すくことができること、などを実証することが出来た。 しかし、2つの試作機は、両者共存学系の構造が複雑でその調整が難しく、当初の目標の分解能10nmを達成できなかった。これは、測定範囲を100μmと大きく欲張って設計したこと、センサとしてのコンバクト化を狙ったため部品の組み立て精度が十分で上げられなかったことなど、基本設計の不完全さに原因があること判明している。今後この難点を改良した2号機を試作して、実用に耐えるスキッド式あらさセンサを完成させるべく準備中である。
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