昨年度は、平面磁気研磨装置を製作し、基本的な研磨特性を実験的に明らかにした。この時の課題は、加工の基本となる磁性砥粒の切れ味向上と加工寿命の改善であた。従来の焼結法によって製作したWA砥粒では、加工中における磁性砥粒の破壊が顕著であり、実用に耐え難いことが明らかになった。この結果に基づき、本年度は磁性砥粒の研磨性能の向上を第1の研究目的に設定し、電解法と無電解法による新しいダイヤモンド磁性砥粒を開発して実験的に供した。また、加工装置には昨年度製作したX-Yテ-ブル2軸運動制御研磨装置を主に使用したが、この研磨装置によってでは三次元研磨はできない。そこで曲面形状倣い方式の卓上型小型磁気研磨装置を新たに製作した。得られた研究結果は次のようである。 1.追加実験として、平面磁気研磨実験を実施し、各種工作物材料の研磨特性とその加工機構を明らかにした。 2.回転磁極の運動条件と加工精度の関係を実験的に究明した。 3.電解法(電着法)および無電解法による新しいダイヤモンド磁性砥粒を開発し、各種の粒径の磁性砥粒を製作した。 4.新しく開発したダイヤモンド磁性砥粒の研磨性能を調べるとともに、磁性砥粒の具備条件を明確にした。 5.簡単に曲面研磨ができる倣い制御方式の小型卓上型磁気研磨装置を設計製作して三次元研磨実験に供した。 6.磁性工作物材料(炭素鋼材)と非磁性工作物材料(黄銅材)に、凸面・凹面の形状モデルを与えて磁気研磨加工実験し、磁気研磨法による曲面研磨の可能性を調べた。 7.電解法と無電解法によって製作した2種類の磁性砥粒を用いてファインセラミックスの平面平滑加工実験を行い、その研磨性能を比較検討した。
|