精密仕上げの主流である遊離砥粒によるラッピングの欠点を補う目的で、固定砥粒方式(主としてBonded Abrasives)による精密ホーニングの可能性の追求を目ざした。 本年度の目標は、アルミニウムサブストレートの精密平面ホーニングにおいて; 1.砥石摩耗によるホーニング性能の変動と低下 2.砥石作業面の摩耗による平坦度の劣化 3.砥石自体の弾性特性と加工精度の関連 を追究することであった。本年度の研究結果を要約すると、次のとおりである。 (1)砥石の物理的特性(硬度や弾性係数など)を明確にした。特に、これらの値は乾式と湿式で大きく異なること、砥石の場所によりかなりむらがあること、そのような変動が加工精度にとって無視できないオーダであることを、理論と実験の両面より定量的に示すことができた。 (2)平面ホーニング加工において研磨特性の経時変化は避け難い。この抑制にはホーニング圧力とボンド強度の関係を知ることがポイントとなる。本研究ではこれらの問題を実験的に明らかにすると同時に、摩耗過程モデルを示した。 (3)加工精度を低下させる最大の因子は砥石平坦度の劣化である。本研究ではこの平坦度の劣化過程を実験的に追跡し、そのメカニズムを明らかにすると共に、平坦度劣化過程のコンピュータシミュレーションを試みた。このシミュレーションは一様接触圧の仮定の下で組み立てられているため、現象を説明するのに十分な結果を得るまでには至っていないが、定性的な傾向を知る上には有効であると考えている。
|