研究概要 |
本年度がこの研究計画の最終年度に当たる。過去2年間において標記研究課題の所期の大きな目的(1)ラッピング砥石の摩耗特性,(2)砥石ラッピングにおける形状精度の形成機構についてほぼ究明できた考えている。本年度は理論解析を主体にラッピング砥石の平坦度劣化プロセスと仕上面粗さの形成機構について検討し,本研究計画の集大成を心がけた。本年度の研究成果を要約すると,次のとうりである。 〔1〕ラッピング砥石の平坦度劣化プロセスを,Wearリングと砥石プレ-トの円弧接触を前提に,シミュレ-ションモデルを構築し検討した。一方石膏プレ-トによる砥石プレ-トの平坦度劣化に関する模擬実験などを行って,シミュレ-ション結果の妥当性を考察したが,残念ながらあまり良好な結果を得ることができなかった。 〔2〕前年度に明らかにした固定砥粒方式ラッピングにおける表面粗さの形成機構(1)転写型,(2)中間形,(3)Burnish型)の各領域間の遷移条件について理論モデルを基に検討した結果,ここで提案する塑性指数が十分有効な判定パラメ-タとなり得ることを明らかにできた。 〔3〕固定砥粒方式による仕上げ加工面の性状(テクスチャ-)を評価するには,高さ性状パラメ-タ(例えばRa,Rmaxなど)のみならず構造関数,パワ-スペクトル,負荷曲線など幾つかの評価パラメ-タを併用すべきことを示した。
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