本年度は、昨年度検討した制御アルゴリズムに基づいて試作システムを構成し、評価実験を行った。 まず、テ-ブル位置のフィ-ドバック情報を得るために、マシニングセンタの送りテ-ブルにリニアスケ-ルを取付け、その出力を直接、制御用のパ-ソナルコンピュ-タに入力できるようにした。これは、NC装置から実時間で情報を得るのが困難であったためである。さらに、制御計算機からのパルス出力をマシニングセンタのハンド送り用パルス発生器の出力の代わりに用いて送り速度の計算機制御ができるようにした。 評価実験を行う前にこの制御システムを用いた場合の、テ-ブル送りの動特性を調べ、これを予見アルゴリズム適用の容易さを考慮して2次系で近似した。評価実権は、4枚刃のエンドミル工具を用いて行った。 溝削りの場合に、急激に切込み深さが変化するような工作物を想定し、切削シミュレ-ションにより切削トルクの変化を予測した。これもとに、送りテ-ブルの動特性を考慮した送り指令パタ-ンを生成した。これには、昨年度検討した予見アルゴリズムに基づいて開発した、指令パタ-ン生成プログラムを用いた。さらに、パ-ソナルコンピュ-タ上に実装した制御プログラムを用いて制御実験をおこない、予見アルゴリズムの効果を評価した。この結果、予見アルゴリズムを用いて生成した送り指令パタ-ンの場合は、制御系の遅れにともなう一時的な切削トルクの上昇が見られず、本システムのが有効性が確認できた。
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