本研究は高温度条件下に置かれたねじ締結体の特性を把握し、その強度設計合理化を目的とし、ねじ締結体の基本的モデルである中空円筒がボルト・ナットあるいはねじ込みボルトにより初期締付けされ、これらが温度変動を受けた場合、ボルトおよび中空円筒に及ぼす力学的諸特性について検討した。更に1本のボルト・ナットにより初期締付けされガスケットを用いた有限長帯板締結体が一端面から温度伝導を受け、かつ他端面に放熱している場合、ねじ締結体に及ぼす力学的諸特性について検討した。以上の検討より次の結果が得られた。 (1)締結ボルトと被締結体である中空円筒が異種材料で構成されたねじ締結体が温度変動を受けた場合、温度とボルトおよび中空円筒の軸力およびひずみ変動量に関して解析する方法を示した。 (2)(1)についての数値計算により中空円筒の外径と内径との比、ガスケットの厚さ、およびガスケットの有無が温度変動を受ける締結体のボルト軸力変動に及ぼす影響について数値的に明らかにし、中空円筒の外径と内径との比が3の場合には130℃の温度変動でボルト軸力が初期締付け力(F_f=9.8kN)の2.5から2.8倍に達することが示された。 (3)締結ボルトと被締結体である有限長帯板が異種材料で構成されたねじ締結体が熱温度伝導を受けた場合、温度とボルト軸力の変動量、このときボルトに発生する曲げモ-メントおよび差分法による有限長帯板の温度分布などに関して解析する方法を示した。 (4)(3)についての数値計算によりガスケットの厚さ、有限長帯板の板厚が温度伝導を受ける締結体のボルト軸力変動に及ぼす影響について数値的に明らかにした。 (5)(2)および(4)によって得られた数値計算結果を確かめるための実験を行い、計算結果と実験結果はかなりよく一致することが示され、本解析法の妥当性が確かめられた。なお、本研究課題の一つであった管フランジ締結体の場合は引続き研究を進める予定である。
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