(i)雪粒子の運動を解明するための画像処理法の確立:本研究の遂行に当たっての第一段階として、吹雪の流動機構を解明するためのパーソナルコンピュータ使用による画像処理法の確立を図ることができた。画像処理法の確立に当たっては、えい航式水路を用いて、その中に防雪柵モデルを設置し、雪粒子としてアルミニューム粉末を散布し、その動きをビデオレコーダに記録して粒子の運動を解析する方法を行った。具体的な画像処理はビデオレコーダーから再現した時間的に連続する二枚の原画像を分解入力し、ビデオ画像モジュールによりデジタル画像とした後処理した。処理は大きく分けて2値化、ラベリング、重心計算、座標変換、対応づけとからなる。このような画像処理は粒子の道筋並びに速度ベクトルを求める上で極めて有効であることがわかり、雪粒子の運動を解明する手法の確立を図ることができた。 (ii)画像処理に基づく吹雪の流動機構の解明:実際の雪粒子の運動すなわち吹雪の流動機構の解明に当たっては、北見工業大学機械工学科流体工学講座に設置されている吹雪発生用風洞を用いて行った。(昭和63年度設置)。この吹雪発生用風洞は屋外に設置されているもので、測定部が1.3m×1.3m、長さ10mのものであり、測定部入口の床面上に実際の雪を一様に散布し(厚さ5〜6cm程度)、風速によって雪を飛翔させ、吹雪を発生させることができるものであた。具体的には測定部床面上に防雪模型柵を設置して、その周辺に発生する吹雪現象をビデオカメラを用いて録画した。録画されたデータは画像処理を用いて解析した。その結果、防雪模型柵周辺に発生する吹雪の運動、模型柵前後に生ずる吹溜り状態、吹溜り量に関する経時変化などかなり正確に把握することができた。とくにえい航式水路を用いた実験と吹雪発生用風洞を用いた実験とを組合せることによって、防雪柵性能を予測できることがわかった。
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