前年度(昭和63年度)においては、雪粒子の運動機構を解明するための画像処理法の確立並びに実際の雪粒子を用いた吹雪発生用風洞による吹雪の運動機構及び各種防雪施設の性能評価を行なうための風洞モデル実験の確立を図った。本年度は前年度で得られた基礎的結果を踏まえて、具体的な吹雪障害防止のための一つの方法の検討、すなわち吹雪障害防止のための最適道路形状に関する実験を遂行した。 (1)吹雪障害防止のための最適道路形状に関する流体力学的検討:一般に道路形状は盛土構造と切土構造の二つのタイプに分けられる。本研究ではこれらの道路形状に関して、法勾配、道路幅、盛土高さ並びに切土深さの各種パラメ-タを変化させ、画像処理による水路実験を遂行し、流体力学的見地から吹雪障害を防止する最適道路形状の検討を行った。その結果、二段の法勾配を有する盛土構造並びに15度以下の切土勾配を有する道路が吹雪障害防止に最適であることが判明した。次に流体力学的見地から決定した最適道路形状に関して、具体的に吹雪障害となる道路周辺の吹き溜まり並びに視程障害の防止効果の検討を行なうために以下に示す二つの実験を実施することによってその性能の評価を行なった。 (2)視程障害軽減に関する検討:最適道路形状の視程障害軽減割合の検討を水路並びに吹雪風洞実験を遂行することによって行った。水路実験では測定部内に模型雪を混入し、道路周辺の粒子の濃度分布を測定することによって視程障害軽減の評価を行った。また吹雪発生用風洞では道路の各位置の飛雪量の測定に基づいてその評価を行った。 (3)吹き溜まり防止の評価:吹雪発生用風洞を用いて、道路周辺の吹き溜まり状態を観測し、吹き溜まり防止効果の検討を行った。以上の(2)および(3)の検討結果、流体力学的見地から決定した道路形状は吹雪障害防止上極めて有効な道路形状であることが判明した。
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