1.時間発展乱流混合層 時間的に発達する対向平行乱流混合層に関しては、ランダムな微小じょう乱を含む17の場合についてLESを用いた数値計算を行い、運動量厚さが時間に対してほぼ線形に成長し、周期的に励起された場合に観察される凹凸は観察されないこと、初期速度場がランダムな変動を含む場合にも、大規模渦構造やリブ構造が形成されることを明らかにした。また、乱流の組織構造を明らかにするために、三次元グラフィックスを用いた渦度の可視化を行い、乱流混合層のブレイド領域に三次元リブ構造が形成されること、コア領域において三次元リブ構造はつながっている事を明らかにした。 2.空間発展乱流混合層 レイノルズ数の比較的高い乱流境界層を流入 境界条件とする空間的に発達する乱流混合層を対象として、LESを用いた数値計算を行い、モデル定数の影響、初期乱れの影響、壁面近傍での減衰関数の効果、流出境界条件について検討を行い、流入境界条件が速度変動を含む場合には大規模渦が形成され、運動量厚さも急激に増大すること、壁面近傍で減衰関数を用いることにより、壁面近傍における乱流粘性を適切に評価することができ、乱流混合層の発達を正しく予測することができること、モデル定数がC=0.15とC=0.18の場合では計算結果にほとんど差異がないこと、X方向の速度を領域内の二点を用いて外挿することにより、適切な流出境界条件を与えることができることを明らかにした。また、Osterらの実験結果との比較から、現象が二次元的と考えられる領域において、運動量厚さの空間的な発達、平均速度分布およびX方向変動速度成分の最大値は実測値と計算値がよく一致することが明らかとなった。
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