研究概要 |
(1)乱れ度2〜4%の線形乱流せん断流れをする鉛直ダクト内で直径5mm、あるいは、10mmの球の落下実験を行った。球運動軌跡を写真で観測したものと、数値シミュレ-ションで求めたものと比較検討した。その結果、球には近寄り流れの高速側から低速側に向かう揚力が働くことと、その揚力は速度勾配にほぼ比例することを明らかにした。また、揚力の作用方向については同じ結果になることがペンダント法によっても明らかにされた。なお、球を静止状態から落下させるため、落下の初期段階の軌跡は、球のホルダの支柱の存在による気流の乱れの影響が出て明らかなゆらぎを示した。但し、実験を行ったダクト内流れの無次元速度勾配は、0(一様流),0,2,0,4,0,6の4通りであり、球に関するレイノルズ数の範囲は4000〜7000の範囲である。 (2)直径が30mmと25mmのアクリル製の球を用いて、球表面に作用する変動圧力を超高感度の半導体小形圧力変換器(直径2、36mm)を用いて測定した。球の後流に熱線プロ-ブを置いて、ストロ-ハル数に対応する放出うず周波数をサンプルして、それを基準信号に採用し、位相平均法を適用して変動揚抗気を測定した。その結果、抗力の変動成分は定常成分に比べて誤差範囲と同程度であり、揚力の変動成分はさらに小さかった。これは、主流のせん断流れの乱れ度が約3%と小さく、また、球からの放出うずに起因する大きな変動力が球に働かなかったためと考えられる。 (3)直列配置の2個の球に働く変動揚抗力も調べる予定であったが、上述の結果から推察されるように、意味のある変動揚抗力が測定されることは期待できないので、この調査は中断されている。同じ理由で、せん断流れ中の多数の粒子の運動解析とそのディジタル画像処理による解析も中断されている。今後は大きい乱れの場合を扱う予定である。
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