管路内の超音速流れ場では急拡大部や弁部において超音速自由噴流が発生するが、噴流境界で発生する乱れが大きな騒音・振動を誘起する。この騒音、振動現象を明らかにするため、本研究ではレ-ザ誘起蛍光法を用い、超音速自由噴流の層流から乱流への遷移現象を調査した。昭和63年度に完成させた低密度風洞とレ-ザ計測装置、デ-タ処理システムを用い、本年度は以下に示す研究結果を得た。 1.オリフィス前後の圧力比を変化させて、噴流境界部の乱れの状態を明らかにすることができた。この結果、乱れは噴流境界部で発生するが、噴流の等エントロピ領域では層流が保たれること、マッハディスク周辺部で乱れ度が最も大きくなること、などが明らかにされた。また、圧力比を変化させても噴流境界部が層流から乱流に変化するレイノルズ数は4000程度で、圧力比には大きく依存していない。 2.噴流で発生する乱れについて、得られたデ-タを用いて確立密度関数、自己相関関数、パワ-スペクトルを計算し、乱れの特徴を得ることができた。また、音響光学素子を用いてレ-ザム-ビを交互に2方向に分け、空間的に異なる2点の相関をとることができた。 3.マッハディスク周辺部で得た乱れのデ-タをスペクトル解析したところ、3KHz程度に極大を有する振動成分があることが分かった。この振動成分のスペクトル強度はオリフィス出口近傍の幾何学的形状に依存する傾向が見られた。 4.パワ-スペクトルと自己相関、相互相関数を検討した。その結果、境界部で発生した揺らぎが下流方向に伝播していることが推察されたが、揺らぎの主要な周波数はこれまでの理論結果と比較して1桁小さかった。今後、本研究で得られたデ-タに基づき、詳細な理論的考察を行う必要がある。
|