管路内の超音速流れ場ては急拡大部や弁部よおいて超音速自由噴流が発生するが、噴流境界で発生する乱れが大きな騒音・振動を誘起する。この騒音・振動現象を明らかにするため、本研究ではレ-ザ誘起蛍光法を用い、超音速自由噴流の層流から乱流への還移現象を調査した。本研究で得られた知見を以下に列挙する。 1.低密度風洞の防振対策、光電子増倍管のショット雑音、などを詳細に検討し、噴流の乱れが高精度で測定できるシステムを開発した。 2.本研究の結果、乱れは噴流境界部で発生するが、噴流の等エントロピ領域では層流が保たれること、マッハディスク周辺部で乱れ度が最も大きくなること、が明らかにされた。また、圧力比を変化させても噴流境界部が層流から乱流に変化するレイノルズ数は4000程度で圧力比には大きく依存していない。 3.噴流で発生する乱れについて、得られたデ-タを用いて確率密度関数、自己相関関数、パワ-スペクトルを計算し、乱れの特徴を得ることができた。また、音響光学素子を用いてレ-ザビ-ムを交互に2方向に分け、空間的に異る2点の相関をとることができた。 4.マッハティスク前辺部で得た乱れのデ-タをスペクトル解析したところ、3KHz程度に極大を有する振動成分があることが分かった。この振動成分のスペクトル強度はオリフィス出口近傍何学的形式に依存する傾向が見られた。 5.パワ-スペクトルと自己相関、相己相関関数を検討した。その結果境界部で発生した揺らぎが下流方向に転播していることが推察されたが、揺らぎの主要な周波数はこれまでの理論結果ま比較して1桁小さかった。今後、本研究で得られたデ-タに基づき、詳細な理論的考察を行う必要がある。
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