進行磁場における磁性流体界面波の定量的な理解のために重要な、交流磁場内における磁性流体界面の不安定波に関して、次のような実験的ならびに理論的研究を行ない、その結果以下の新たな知見を得た。 1.界面に垂直な交流磁場内での磁性流体界面波の計測 発生する不安定波は2種類ある。一つは印加磁場の周波数が比較的小さい場合に発生する定在振動波であり、もう一つは磁場の周波数が比較的大きい場合に発生する定常波である、レーザ変位計とパソコンによる振動波の波形測定によれば、振動波は印加磁場とほぼ等しい周波数成分をもつ、また定常波に及ぼす粘性の影響は小さく、この波は磁性流体に定常一様磁場の作用した場合に発生する不安定波と同一のものである。 2.界面に垂直な交流磁場内での磁性流体界面の線型安定性解析 振動不安定波についてかく乱の波数が特定の値をとる場合に、数値計算による限界曲線が得られた、粘性がある場合、非粘性の場合に比べて粘性減衰によって、系は安定化される。また表面張力の増大あるい磁化率の減少は、ともに系を安定化させる。さらに波数が特定の値の限界曲線の包格線として、真の限界曲線が得られ、実験結果と比較的良好な一致がみられた。 3.界面に平行な交流磁場での磁性流体界面波の計測 磁場こう配のある交流磁場内では磁場の周波数と同じ周波数の定在振動波が発生し、周波数の上昇と共に印加磁場の方向に節の数が増加する。また一様磁場内では、定常的な不安定波が発生し、その発生限界値は液深が深いほど、あるいは容器の幅が狭いほど低くなる。 以上の研究成果から、交流磁場内での界面不安定波の発生に関して、ほぼ当初の目的を達成したと考えている。
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