プール沸騰の限界熱流束について、上向き伝熱面により合体泡の離脱頻度fと限界熱流束q_<CHF>および細腺について合体泡離脱頻度の測定を行った。合体泡の離脱頻度については、本研究成果と既存の測定結果を整理し、上向き面について伝熱面径と離脱頻度の関係を明らかにした。細腺については、既存の測定結果と一緒に本研究による結果を整理し、合体泡径と離脱頻度の関係を明らかにした。 限界熱流束は、合体泡が離脱するときに丁度液膜が乾くという条件式(1)によって決まるとして求める。ここで、ρe:液体密度、δ^^-e:液膜厚さ、Hfg:蒸発潜である。式(1)によりq_<CHF>とfを与えることによって逆に液膜厚さを求めヤコブ数NJaに対し整理し次式を得た。式(2)は大気圧近傍の各種液体の限界熱流束時の液膜厚さを広範囲なNJa数について比較的精度をよく表わすが、水については式(2)による値より約60%厚い。沸騰曲線も他の液体と大きな差があり、物性値の違いは主として表面張力であることを考え、表面張力による八方条件や発生した1次気泡の形状などに違いを生じるためと考えられるが、詳細は不明である。 外径10mm以下の水平上向き面の限界熱流束については、合体泡離脱頻度が5mm以下の伝熱面ではむしろ小さくなるために、外径1〜2mmのソ連のデータが細径が小さくなる程熱流束が大きくなることの説明が本モデルではできない。伝熱面直径が小さくなると気泡の生長が遅くなり、このために合体泡の周囲と伝熱面の間から液が伝熱面に供給されるためと考えられる。 水平細腺の限界熱流束については、細腺の曲率の効果と細腺径と1次気泡径の関係を考慮して、その複雑なq_<CHF>の腺径による変化を説明した。
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